AWS Summit Japan参加レポート:イオンフィナンシャルサービス株式会社のセッションのサムネイル

こんにちは、シーズ代表の西垣です。

昨日今日と開催されている、日本最大の "AWS を学ぶイベント"「AWS Summit Japan」に参加しているので、そのレポートをお送りしたいと思います。

今年は基調講演を始め「生成AI」の話題が多く占めていましたが、私はあえて泥臭い基幹システムやレガシー・エンタープライズ系を中心に「ユーザー企業がAWSをどのように見ていて、活用しているのか」をテーマにセッションを聞いてきました。

生成AIや技術のレポートについては、シーズクリエーターズブログをチェックしてみてください。

https://www.seeds-std.co.jp/blog/creators/

イオンフィナンシャルサービス株式会社のセッション

1日目はイオン、ファミマ、SBI証券など、主に個人向けサービスを提供されている企業たちが、IT基盤のクラウド移行が完了した中でどのような活用をされているか、見えてきた課題はなにか、今後の展開について聞いてきました。

特に、イオンフィナンシャルサービス株式会社のセッションでは共感できる話しがたくさんありましたので一部紹介したいと思います。

お題「イオン生活圏を支えるシステム基盤と決済を担う当社の取り組み」

イオングループの基本情報

1従業員60万人 店舗17,887箇所
2営業収益 9兆5535億
3子会社 300社以上
4WAONPOINT 9,000万
5イオンカード 5,000万
6AEON Pay 5,000万
76,000万人のお客様が何かしらの決済を利用している。
8100のシステム、1,000超のサーバーを所有
9会員情報 6,000万
10年間投資額 200億

移行計画

2017年までは従来のオンプレで各システムをベンダー丸投げでやっていた。 2018-2021年にオンプレ統合基盤を整備したことでカルチャーが生まれ出した。 2023年にクラウド移行運用を開始。

移行が完了してみて

クラウド移行は2022年からやりたいと考えていたが、保守的な議論で1年間動けなかった。 課題は承知の上で、大きな未来を見据えて決断した。

6,000万人が使うサービス基盤なので、多くの慎重な意見があったと推測します。その中で移行を決断し推進されたことに大変なご苦労があったと思いました。

ベンダー価格競争力を創出

AWSを中核としてクラウド基盤を整備している。 Azureやgoogle cloud platform(GCP)も使っている。(発表資料では消されたがw) イオン統合基盤の中にAWSやその他のクラウドサービスがあるという位置付け。 常に良いものを選ぶためにAWSや富士通などベンダーも毎年変えている。 ごちゃまぜになっても特に問題ないと考えている。この姿勢でやっていく方針。

今回AWSサミットなのでAWSをメインに発表となりましたが、実際は他のクラウドの良いところもきちんと比較して最善のものを選んでいるそうです。

我々ベンダー側からすると毎年コンペがあるのは大変そうですが、ベンダーロックから開放されることと、そのとき1番良いものを選べるというメリットは大きそうです。

また、クラウドシフト完了後の課題についても紹介されていました。

クラウドシフト後の課題

  • コスト削減はできない
オンプレのようにイニシャルはかからないが、5年間でみたときほぼほぼトントンになる。
  • Oracle問題
オンプレ時代からOracleでやっていたが、クラウドとOracleは相性が良くない。 Oracle側がクラウドをサポート対象外にしている。 ベンダーに相談すると、Oracleでやるならインフラも見直してくださいと言われ、結果たらい回しになる。 ただ最近は雪解けしてきた印象とのこと。
  • メンテナンスによる停止
AWS側がメンテンナス計画を決めている。 特にアメリカ時間で行われると日本のお買い物ピーク時間と被り問題になることがある。
  • オートスケール問題
急すぎると間に合わない。 AWSからはそういうときは事前に広げておいてくださいと言われるが、それだとオートちゃうやん!という問題。

まとめ

セッションを通じて、1番印象的で強く共感できたのは

「チャレンジをやめたくないと思っている」

という一言でした。

変革を実現するためには、保守派を説得し、新しいことにチャレンジし続ける並大抵でない意思と努力が必要です。ITやDX化を促進する立場として見習っていきたいと思いました。

Drupa2024レポート:まとめのサムネイル

ついに第5章となりましたDrupa2024レポート、いよいよ最終章です。

今回のDrupaツアーを通して感じたことをまとめたいと思います。

私はシステム会社の人間としてこのツアーに参加し、印刷業界のイノベーションに貢献できるヒントを模索していました。現地の印刷会社で聞いたリアルな言葉や、同行させていただいた印刷会社の方々の反応などから感じた印刷業界の課題について、私は以下の3つになると考えています。

印刷業界の課題

100社の中で生き残る3社になるためには

オンライン

ネット通販、リピート注文、受発注、見積、配送管理、アフターケアなどの様々なワークフローをWEBでオンライン化し、顧客満足度を高め関係性を維持しなければ顧客は離れていきます。生き残っている3社はすべてオンライン対応を取り入れています。

スマートファクトリー化

印刷会社として生き残るには、生産効率を極限まで高めた生産工場にする必要があります。デジタル機への転換やロボット化、コンベア、無人配送などのファクトリーオートメーション(FA)の推進が不可欠です。また、環境問題への対応や労働環境の改善など、多様な設備投資も求められています。

人手不足

オンライン・スマートファクトリーにより生産効率が上がり極限まで人が減ったとき、そこで働く人が幸せを感じられるような環境ややりがい、待遇がないと人は離れていってしまいます。

以上、これら3つの課題を解消することで、価格競争を含む他社との競争で優位に立つことができると考えています。

97社の生きる道

一方で、これらの課題はあくまで「従来の印刷会社として生き残るため」の課題であり、特定商材に絞ったり、制作や課題解決業にシフトするなど、別の生き方に活路を見出すことも重要です。

日本でも、凸版印刷をはじめ印刷会社が社名から「印刷」という文字を外し、事業の多角化や新しい分野への進出を図る企業も増えてきています。

https://www.holdings.toppan.com/ja/ad-lp/

さいごに

今回の旅では、私自身が印刷会社の一員だと錯覚するくらい印刷漬けの毎日を過ごしました。その中で、印刷業界の課題や目指すべき姿が鮮明に見えてきたように思います。

そして印刷業界のみならず、どの業界にも言えることですが、変革し続ける必要があります。

我々はシステム開発やクラウド技術を通じてその変革を実現させる力があると信じています。今回の旅で得た知見を活用し、提案力をよりブラッシュアップさせ、印刷業界ひいては日本の企業全体の変革・進化・発展に貢献し続けたいと思います。